辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する

 そう言われ、サリーシャは久しぶりにシロツメクサを摘み取った。昔やったように、軸を一本作るとその周りに順番に花を巻き付けてゆく。セシリオはあの時と同じように横になってサリーシャの様子をのんびりと眺めていた。

「アハマスに戻ったら、すぐに結婚式だ。きみの花嫁姿を見るのが楽しみだな」

 セシリオがそう呟いたので、サリーシャは花を巻き付けている手を止めてセシリオを見た。ヘーゼル色の瞳が優しくこちらを向いている。

「首まで覆われた、クラシックなデザインですわ。わたくしが我儘を言ったから、今、仕立て屋さんが頑張って手直しをしてくれています。飾りを増やして貰いたくて」
「満足いく一着は出来そうか?」
「はい。とても楽しみですわ」

 笑顔で頷くサリーシャを見て、セシリオは微笑んだ。

「それはよかった。きみ自体が華やかだから、どんなドレスでも似合うだろう。俺の花嫁は間違いなく、世界一美しい花嫁だ。ドレスも世界一の仕上がりに違いない」
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