辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
「おはようございます、閣下。昨日は大変な失礼を致しました」
「いや、構わないんだ。顔を上げてくれ」
セシリオは焦ったようにサリーシャの顔を上げさせた。そして、困ったように眉尻を下げた。
「到着早々の疲れているところで晩餐に誘うなど、こちらも配慮が足りなかった。昨日は、モーリスに酷く呆れられた」
「モーリス?」
「アハマスの軍隊ナンバー2で、俺の右腕だ」
セシリオはそれだけ言うと、沈黙した。そして、パッと顔を上げてサリーシャを見つめた。
「昨日は、よく休めただろうか?」
「はい」
むしろよく休み過ぎて、大失態を演じてしまった。初めての場所にも関わらず、この屋敷のベッドはとても寝心地が良かったのだ。