辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
第四話 町散策(1)
■ 第四話 町散策(1)
アハマスの地は辺境の地ではあるものの、周りに大きな都市もないことからそれなりに人口が集中し、栄えている。戦争が起こる以前に比べれば多少物流量は減ってしまったものの、異国であるダカール国からの物資も多く手に入ることから、商人たちが集まる中核都市を形成していた。
その日、サリーシャは思わぬ誘いに目をしばたたかせた。
「街の散策……でございますか?」
「ああ。明日は久々に休暇をとろうと思ってな。きみはまだ街に出たことがないとクラーラから聞いた。明日であれば俺も同行できるから、どうだろう?」
サリーシャがここに来て、もうすぐ三週間になる。
領主館の中はだいぶ慣れたが、逆に言うと領主館の中でしか過ごしていない。クラーラによると、ここの城下町にはあらゆるお店が揃っているという、食物のお店はもちろんのこと、帽子屋、靴屋、絵の具屋、アクセサリー屋などだ。使用人仲間と街の散策に行ったと言っていたノーラも、王都のような華やかさはないものの、必要なものは全て揃うと言っていた。特に用事があるわけではないが、少し見てみたい気もする。
「はい。ご一緒させてくださいませ」
アハマスの地は辺境の地ではあるものの、周りに大きな都市もないことからそれなりに人口が集中し、栄えている。戦争が起こる以前に比べれば多少物流量は減ってしまったものの、異国であるダカール国からの物資も多く手に入ることから、商人たちが集まる中核都市を形成していた。
その日、サリーシャは思わぬ誘いに目をしばたたかせた。
「街の散策……でございますか?」
「ああ。明日は久々に休暇をとろうと思ってな。きみはまだ街に出たことがないとクラーラから聞いた。明日であれば俺も同行できるから、どうだろう?」
サリーシャがここに来て、もうすぐ三週間になる。
領主館の中はだいぶ慣れたが、逆に言うと領主館の中でしか過ごしていない。クラーラによると、ここの城下町にはあらゆるお店が揃っているという、食物のお店はもちろんのこと、帽子屋、靴屋、絵の具屋、アクセサリー屋などだ。使用人仲間と街の散策に行ったと言っていたノーラも、王都のような華やかさはないものの、必要なものは全て揃うと言っていた。特に用事があるわけではないが、少し見てみたい気もする。
「はい。ご一緒させてくださいませ」