辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
第五話 町散策(2)
■ 第五話 町散策(2)
午前中とは打って代わり、午後は婚約者同士らしい時間の過ごし方だった。
セシリオに連れて行ってもらった裁縫用品店はアハマスの城下町で一番大きな裁縫用品店だった。広い店内にはあらゆる種類の素材や糸や布、リボンやボタン、レースなどがところ狭しと並べられている。
サリーシャは自分で頼んでおきながら、男性、且つ、軍人でもあるセシリオは裁縫用品店など知らないかもしれないと心配していた。しかし、アハマスの辺境伯でもあるセシリオは、自分の膝元であるアハマスの城下町のことをしっかりと把握しているようで、サリーシャの希望を的確に汲んだ店を紹介してくれた。
「閣下、これとこれはいかがでしょう?」
サリーシャはお店で売られている中でも一番上質なシルク製のハンカチを二枚、セシリオに差し出した。一枚は真っ白の無地、もう一枚は縁にアハマスの軍服の色に似た緑色の模様が入っている。
「いいと思う。だが、先ほどのハンカチは本当に返して貰えないのだろうか?」
「あれはお返し出来ませんわ」
午前中とは打って代わり、午後は婚約者同士らしい時間の過ごし方だった。
セシリオに連れて行ってもらった裁縫用品店はアハマスの城下町で一番大きな裁縫用品店だった。広い店内にはあらゆる種類の素材や糸や布、リボンやボタン、レースなどがところ狭しと並べられている。
サリーシャは自分で頼んでおきながら、男性、且つ、軍人でもあるセシリオは裁縫用品店など知らないかもしれないと心配していた。しかし、アハマスの辺境伯でもあるセシリオは、自分の膝元であるアハマスの城下町のことをしっかりと把握しているようで、サリーシャの希望を的確に汲んだ店を紹介してくれた。
「閣下、これとこれはいかがでしょう?」
サリーシャはお店で売られている中でも一番上質なシルク製のハンカチを二枚、セシリオに差し出した。一枚は真っ白の無地、もう一枚は縁にアハマスの軍服の色に似た緑色の模様が入っている。
「いいと思う。だが、先ほどのハンカチは本当に返して貰えないのだろうか?」
「あれはお返し出来ませんわ」