辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
「ここでは、女性が一人でも生きていけるのですね」
「そう出来るよう、支援している。彼らもまた、戦争の犠牲者だ」
サリーシャはチラリと隣を窺い見る。穏やかな口調のセシリオは、まっすぐに前方を向いていた。
***
その日の夜、サリーシャの寝る前の準備をしていたノーラは、櫛を手に持つと髪用の油を少したらし、サリーシャの後ろに立った。
「サリーシャ様。今日はお土産をありがとうございます」
「いいのよ。口には合ったかしら?」
サリーシャは鏡越しに髪をとかしているノーラに尋ねた。