政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 それは素直に顔に出てしまい、私が食べている間ずっと航君は嬉しそうに顔を緩めていた。

 食べ終えると手伝うといっても許してはもらえず、片づけまですべて彼にやらせてしまった。それだけではなく、航君は食後のコーヒーまで淹れてくれるという、至れり尽くせりぶり。

 こんなに良くしてもらって、最高の二十歳の誕生日を迎えて過ごすことができて幸せだよ。

 航君とともに並んでソファに座り、冷ましながらコーヒーを飲み進めていく。すると先に飲み終えた航君はコップをテーブルに置いて立ち上がった。

「ちょっと待ってて」

「はい」

 カップをテーブルに置き、廊下に出ていく彼の後姿を見送る。少しすると戻ってきた彼の手には、小さな紙袋が握られていた。再び私の隣に腰を下ろした航君は、それを私に差し出す。

「千波、誕生日おめでとう」

「えっ?」

 誕生日おめでとうってことは、もしかして私へのプレゼントなの? さっき食事を作ってもらったのに……。

 信じられなくて航君と紙袋を交互に見てしまう。

「気に入ってもらえるといいんだが……」

 いつまでも受け取らない私に、航君は戸惑いの声を上げた。

「すみません、ありがとうございます」

 困惑しながらも受け取ると、航君は「開けてみてくれ」と言う。
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