政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 まさか料理だけではなく、プレゼントまでもらえるとは夢にも思わなかった。それに昨日だって高そうな指輪をもらったばかりなのに。

 申し訳なさと嬉しさに覆われながら、綺麗にラッピングされた包みを開けていく。すると箱の中には、大小のハートの中にピンクダイヤモンドが揺れるネックレスが入っていた。

「可愛い」

「よかった」

 思わず漏れた声に航君は安堵する。

「千波に似合うと思ったんだ。……今、付けてもいい?」

「は、はい」

 私の返事を聞いて航君は箱の中からネックレスを手に取ると、そっと私の首に腕を回す。

 う、わぁ。ちょっとこれはまずいかもしれない。

 彼の腕が頬に触れ、かあっと身体中が熱くなる。服越しで直接触れているわけではないのに、いつもより近い距離間にもドキドキして仕方がない。

 付けてもらうのにかかった時間は一分も経っていないはずなのに、私にはもっと長く感じる。

「ん、できた」

 その言葉に自分の胸元を見れば、ピンクダイヤモンドが照明の光に揺れて輝いていた。

「あの、航君……?」

 もうネックレスは付けてもらったのに、なぜか彼との距離は近いままだ。このままではドキドキしていることに気づかれるのも時間の問題。だから早く離れてほしいのに、航君はそっとネックレスに触れた。
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