政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「やっぱり千波に似合うな」

「そう、でしょうか?」

 似合うと言ってくれて嬉しいけど、なにもこんな至近距離で言わなくてもいいのに。

 航君はずっとネックレスに触れたまま離れそうにない。いよいよ胸の高鳴りも限界に達しそう。

「千波は、男がネックレスを贈る意味を知ってる?」

「意味ですか?」

 初めて聞く話に小首を傾げる。

「あぁ、指輪にネックレス、ブレスレットとアクセサリーによって意味が違う」

 航君は真剣な瞳を向けて、心臓が跳ねた私の耳に口を寄せた。

「ネックレスは束縛の意味が強い。絶対に離さない、俺のもの。常に一緒にいたいって意味があるんだ」

「えっ?」

 意味深な言葉に驚きを隠せない。

 冗談で言ってる? それとも私の反応を見てからかうつもりとか?

 そんなことが頭を巡っていく。だけど航君は表情を変えることなく、私を見つめたままだった。

 航君の真意がわからない。どうしていつもいつも、こうして私の心を乱すことばかり言うの?

「だから毎日付けてほしい。……もちろん指輪も」

「……っ」

 どんな気持ちで航君は言っているの? 私が本気にとってもいいと思っている? 後になって私の気持ちを迷惑だと思わない?

 これからも航君は私の心を乱すことを言うつもり? その度に私は戸惑い、迷い続けるの? 今みたいな複雑な気持ちに悩まされるの?

 そんなの無理、つらすぎるよ。
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