政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 真剣な瞳で言われ、身体中が熱くなる。でも私が航君の気持ちを信じられなかったように、航君も私の気持ちを信じられずにいるのかもしれない。

「航君のことが好きです」

 視線を逸らすことなく伝えたら、彼は大きく目を見開いた。そして再び航君は私の身体を優しく包み込む。

「俺も好きだよ」

 何度目の愛の言葉だろうか。もう疑わないよ、航君の気持ちを。……でも。

「あの……! さっき、昔から私を知っていたように言っていましたよね? ごめんなさい、私……航君と以前に会ったことを忘れていて。いつだったんですか?」

 私だけ忘れているのが申し訳なくて聞いたものの、彼はクスッと笑った。

「いいよ、今はまだ忘れたままで」

「だけど……」

 知りたいよ、航君とはいつ出会ったのかを。

 どちらからともなく身体を離して見つめ合う。

「それはこれから教えてやるから。それよりも今は、千波と想いが通じ合えたと実感させてほしい」

 言い終える前に航君の顔が視界いっぱいに広がり、唇を塞がれた。
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