政略懐妊～赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方～

　航君のご両親が？　ううん、十分あり得る話だ。悔しいけれど、神屋敷さんのほうが航君とお似合いだし、家柄も見た目も彼の隣に立つに相応しいもの。

　それにご挨拶に伺った時に反対されたことから、神屋敷さんの言っていることは本当だと思う。

「おふたりは全面的に私のことを支持してくださっていて、バカげた言い伝えを遂行せずに私との結婚を進めてくれると約束してくださいました」

　嘘、そんな……。

　航君のご両親に認めてもらえていないことはわかっていたつもりだけど、神屋敷さんと結婚させようと動くほど反対されていたんだ。

　航君と気持ちが通じ合うことができて嬉しくて舞い上がっていた。好きな人が自分と同じ気持ちになってくれただけでは、本当の意味では幸せになれないのに……。

　それが結婚ともなればなおさらだ。好きな人のご両親に受け入れてもらえないのは悲しいしつらい。

　でもこれはすべて自分が招いた結果だ。航君と想いが通じ合って本当の夫婦になってから、いくらでもご挨拶に伺う機会はあったにもかかわらず、彼と過ごす日々が幸せでそこまで配慮ができなかった。