政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「どんな手を使って航さんと入籍して自分の味方につけたのはわかりませんが、それも今のうちだけです。近いうちにあなたには航さんと離婚していただきますから」

 はっきりと告げられた言葉に、胸がズキッと痛む。だけどこの前のように言われっぱなしではいられない。

「話はそれだけです。航さんが戻ってくる前に失礼します」

 自分を奮い立たせて去ろうとする神屋敷さんを引き留めた。

「待ってください」

 私の声に立ち上がろうとした彼女は動きを止めて、不快そうに私を見る。

「なにかしら。私はもうあなたと話すことなんてないんですけど」

「私はあります」

 間髪を容れずに言い、神屋敷さんを真っ直ぐに見つめる。

「航君が望まない限り、私は離婚するつもりはありません。それと航君のご両親にも認めていただけるよう、今後は努力していくつもりです」

「なにを言って……っ」

 声を張り上げて立ち上がった神屋敷さんは周囲の視線を集め、バツが悪そうに咳払いをした。

「ご勝手にどうぞ。まぁ、どんなに努力したって彼のご両親はあなたのことを認めることはないと思うわ。私以外、航さんの結婚相手に相応しい人はいないとまで言われたのだから」

 それほど私は航君のご両親に嫌われているってことだよね?

 そう思うとショックで言葉が出ない。そんな私を見下して神屋敷さんは鼻を鳴らした。
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