政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「そうか。……なぁ、千波。どんな些細なことでもいいから、なにかあったら一番に俺を頼ってくれ。もし俺の知らないところで千波が悩んでいたり、つらい思いをしていたり泣いていたりしたら俺も苦しいから」

 力強い瞳を向けられて言われた言葉に胸がギューッと締めつけられる。

「わかったか?」

 苦しくて声が出ず何度も首を縦に振ったら、航君は表情を緩めた。その柔らかい顔にもまた胸が高鳴ってしまう。

「それとさっきの話の続きだけど、俺はたとえ言い伝えがなかったとしても千波と結婚していたよ」

「えっ? どういうことですか?」

 だって言い伝えがなければ航君とはきっと、一生縁がなかったはず。出会うことさえできなかったと思うんだけど。

 小首を傾げる私に航君はクスリと笑った。

「千波は俺にとって初恋なんだ。そう簡単に忘れることもができないほどの、な」

 含みのある言い方にますます混乱してしまう。
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