政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
ずっと忘れなかった初恋の子 航SIDE
時刻は深夜一時過ぎ。間接照明隣で気持ちよさそうに眠る千波を見ていると、どんなに仕事で疲れていてもあと少しだけ彼女の寝顔を見ていたいと思ってしまう。
艶のある髪を掬っても、さらさらと指の隙間から流れ落ちる。
「んっ……」
眉間に皺を刻んだものだから起きたのかと思ったが、またすぐに幸せそうな顔で規則正しい寝息を立てた。
そんな彼女の身体を抱き寄せ、甘い温もりに酔いしれる。
ずっと探していた初恋の子が千波だと知った時は、どんなに嬉しかったか。
「千波は憶えていないんだろうな」
彼女はきっと俺と初めて会ったのは、お見合いの日だと思っているだろう。無理もない、千波は四歳だったのだから。
* * *
「お兄ちゃん、カッコいいね。王子様みたい! 千波だけの王子様になって」
突拍子もないことを言いだした女の子に出会ったのは、俺が十歳になったばかりの頃。
知り合いの会社の創設記念パーティーに父とともに招待されたが、そのホテルの大広間で父には挨拶に来る者が絶えなかった。
俺が退屈しないように配慮してくれたのか、父に庭園でも散策してくるよう声をかけられ、窮屈な空間から抜け出した。
艶のある髪を掬っても、さらさらと指の隙間から流れ落ちる。
「んっ……」
眉間に皺を刻んだものだから起きたのかと思ったが、またすぐに幸せそうな顔で規則正しい寝息を立てた。
そんな彼女の身体を抱き寄せ、甘い温もりに酔いしれる。
ずっと探していた初恋の子が千波だと知った時は、どんなに嬉しかったか。
「千波は憶えていないんだろうな」
彼女はきっと俺と初めて会ったのは、お見合いの日だと思っているだろう。無理もない、千波は四歳だったのだから。
* * *
「お兄ちゃん、カッコいいね。王子様みたい! 千波だけの王子様になって」
突拍子もないことを言いだした女の子に出会ったのは、俺が十歳になったばかりの頃。
知り合いの会社の創設記念パーティーに父とともに招待されたが、そのホテルの大広間で父には挨拶に来る者が絶えなかった。
俺が退屈しないように配慮してくれたのか、父に庭園でも散策してくるよう声をかけられ、窮屈な空間から抜け出した。