政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「お姉ちゃんも倒れたんだからね? 幸いお腹の赤ちゃんは無事だったけど、頭も打ったかもしれないから明日検査をするって言われたの。だから安静にしていないと」

「……よかった」

 お腹の子も無事で本当によかった。

 両手でお腹を押さえながら安堵の息を漏らすと、瑠璃は私の手に触れた。

「看護師さんからお姉ちゃんとお義兄さんが運ばれてきたって聞いた時は、心臓が止まるかと思ったんだからね? ……無事で本当によかった」

「瑠璃……」

 無事に手術を終え、帰国したばかりの瑠璃に心配をかけてしまった。

「ごめんね、心配させて」

「本当だよ!」

 申し訳ないけど、頬を膨らませて怒る瑠璃が可愛くてつい笑ってしまう。

「もう、お姉ちゃん?」

「ごめん」

 当然瑠璃の怒りはさらに増す。おかげで私は笑いをこらえるのに必死だ。

「だけどまぁ、笑えるなら大丈夫そうだね。あ、そうだお姉ちゃんが目を覚ましたら呼んでって看護師さんに呼ばれていたんだった」

 そう言ってナースコールを手にしたものの、瑠璃はなかなか押そうとしない。

「瑠璃?」
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