政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 迷いなく放たれた言葉に、庵野さんが本当にそう思っているわけがないのに、嘘偽りなどなにもないと感じてしまう。

 庵野さんは伯父にこういった質問をされるということも想定して、答えを用意してきたのかな。そう思うほど自然に言っていた。

 現にさっきまでずっと表情が硬かった伯父も彼の話を聞いて安心したのか、少しだけ頬を緩めた。

「そうですか、そこまで長い間ずっと千波を想ってくださっていたことを伯父として嬉しく思います」

 え、〝長い間ずっと〟ってどういうこと? そういえば庵野さんもさっき〝見合いを申し入れた時もご説明させていただきましたが〟って言っていたよね?
 庵野さんは伯父にどんな話をしたの?

 気になるものの、聞けるはずもなく疑問だけが膨れる私を置き去りにしてふたりは話を進めていく。

「今後について伺ってもよろしいですか?」

「はい、私としては少しでも早く千波さんと結婚したいので、彼女の誕生日に籍を入れて、披露宴などは瑠璃さんが完治したらと考えています」

 そうだ、私は二十歳を迎える瞬間に彼と身体の関係を結ばなければならない。でも籍だけを入れて披露宴を先延ばしにしても大丈夫なのかな? うちとは違い、彼はあの庵野グループの御曹司だ。
< 37 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop