政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 昨夜をきっかけに私たちの関係にも変化が起こるのかも……と、期待してしまう。

 航君に注いでもらった珈琲に砂糖とミルクを入れ、一口飲んだらさっそく朝食をいただく。

 サクサクのクロワッサンにスクランブルエッグと、ソーセージ。たくさんの野菜が使われたサラダにコーンスープと、とても豪華だ。

 どうやら航君は私が出るまで待ってくれていたようで、一緒に手を合わせて食べ始めた。

 穏やかな時間が流れる中、ほとんどの料理を完食して珈琲を啜っていると、航君が私の様子を窺いながら聞いてきた。

「千波、身体は大丈夫か?」

 身体って……えっと、痛くないかってことだよね?

「は、はい大丈夫です」

 お風呂に入ったらすっきりしたし、歩けないほど痛いわけでもない。

「それじゃ婚姻届はふたりで出しにいこう」

「婚姻届……」

「あぁ、本当はお義父さんに結婚の許しを得てからと思っていたんだが、親戚の中に少し面倒な人がいて、な。千波も二十歳になったことだし、結婚に保護者の同意は必要なくなったから今日、籍を入れにいこう」

 そうだよね、プロポーズされて一緒に住むことになっていたって、書類の上ではまだ私たちは夫婦ではなく他人なんだ。

「わかりました」

 朝食を済ませ、ホテルで少しゆっくりと過ごした後、私たちはその足で市役所へ向かった。

「はい、たしかにお預かりしました。おめでとうございます」
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