私は天使に侵されている
来夢の言ってる意味がわからない。
まさか、こんな狭い部屋に執事を雇うとでも言ってるのだろうか。

「……???」
きょとんとしてる美麗を尻目に来夢は、スマホを操作しだした。
「美麗、ちょっと隣の僕の部屋に行ってくるね!
その間に、作っててくれる?」
「え?あ、うん。わかった!」

そして30分後、帰ってきた来夢。
「ただいま~
なんかいい匂いがする~!
美味しそう!」
「口に合うといいけど……」

「………」
「………」
「……ん。美味しい~!」
「ほ、ほんと?」
「うん!美味しい!美麗、ありがとう!」
「良かったぁぁぁ……!
でも、毎日シェフさんのお料理食べてるから物足りないかな?」
「ううん。だって、愛情がないからね。シェフの料理。でもこれは、美麗の愛情を感じる!幸せ!」
微笑み言った来夢。更に言葉を続けた。

「それにあーゆう料理はね、たまに食べるから美味しいんだよ?やっぱ、愛情のこもった手料理が一番だよ?」
「んー、そう言われればそうかも?
お母さんの料理って、毎日食べてても飽きないもんね!そう考えると、学生の時は幸せだったなぁ」
思い出すように、宙を見上げて言った美麗。

「僕はパパしかいないから、よくわかんない。
ママの手料理なんて食べたことないよ」
「あ、そうだよね。確か…来夢くんが生まれてすぐにお母様は……テレビで見たことある……
お父様が50歳くらいの時にやっと出来た子だって。
大きな銀行の頭取さんだから、前にテレビで見たことがあったなぁ」

美麗は、確か自慢の息子で妻の分身って言ってたなぁとぼんやり考えていた。
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