私は天使に侵されている
来夢は美麗に駆け寄り、力強く抱き締めた。
「美麗!!もう大丈夫だよ……大丈夫」
背中をさすりながら安心するように言うと、震える手で来夢の服を握っていた美麗の手の力がフッと抜け、美麗は気絶した。
「来……夢…」

「美麗!!?
美麗…ちょっと待っててね。すぐに終わらせるからね…」

ゆっくりその場に美麗を横にした来夢。
数回頭を優しく撫でて来夢は着ていたジャケットをかけた。
そして令子達に向き直った。

「来、夢……」

もう、まさに………“悪魔”だった━━━━━━

「ねぇ…誰か、煙草持ってない?」
男1「え……」
男2「違うんだ!令子ちゃんに頼まれてしかたなくしただけで、俺達は━━━━━━」

「煙草!ないの?」
男3「だから!俺達は━━━━━」
「煙草!ちょうだい?」
ニコッと微笑み、手の平を出している来夢。
その笑顔は、何故か穏やかだ。

男1「わ、わかった…!」
逆にその笑顔が恐ろしくて、恐る恐る煙草を差し出す男。

煙草を吸い出す、来夢。

「あれー?灰皿はぁ?」
男2「あ?そんなもんねぇよ」
「は?じゃあ…どうすんのぉー?道路にポイ捨てはダメだしぃ……
あ!そうだ!
フフ……」

来夢が、男達に向き直った。

男達「は?」
「は?って、君等灰皿にしちゃおっと!」

そう言って、男達に近づき何の躊躇もなく手に煙草を押し当てた。

ギャァァァーーーー!!と男達の声が響く。

「ハハッ!!汚ない声~!」
男達「た、助け…てくれ……」
来夢は笑いながら、何度も煙草を押さえつけている。

「んー、うるさいから、まずは喉潰すねっ!」
まるではしゃいでいるような雰囲気の来夢から出た言葉は、あまりにも恐ろしいモノだった。
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