私は天使に侵されている

それからは惨劇の現場に変わった。

｢ん…来夢…？｣
そこで美麗が目を覚ます。
｢━━━━━━！！！！
うっ…！！！｣
目の前の光景に、美麗は思わず吐き気をもよおした。

男達は、ぼろぼろに殴り蹴るを受け半殺し状態。
煙草も何度押しつけられたかわからないほど、ぼろぼろにヤケドしていた。
それでも尚、来夢は殴る・蹴るを繰り返していた。
あまりにも悲惨で、残酷な光景。

これを来夢が一人で……？

美麗と令子は映画でも見ているようだった。
とにかく恐ろしくて、そこから動けずにいた。

｢令子｣
｢え……｣
｢令子も、地獄行きだよ？｣
｢え……違うの！私、ここまでしろなんて言ってないよ！ちょっと、怖がらせてって━━━━━━｣

パン━━━━━！！！！
｢キャッ……！！｣
｢はっ！！来夢！！やめて！！｣
一瞬で来夢に頬を平手打ちされ、横に吹っ飛んだ令子。
頬にははっきり、来夢の手形がついていた。
美麗も来夢を止めようと、声を荒らげる。
止めに行きたいが、完全に腰が抜けていて身体が動かない。
それにあまりにも来夢が恐ろしい。
ただ平手打ちしただけなのに、人間が吹っ飛ぶなんて普通はあり得ない。

｢僕ね、女に手を上げる人間ってどんな理由があっても最低だと思ってた。
でも……美麗の為なら、いくらでも最低になってあげるよ！
ほら、立って？
まだまだ治まらないから、もっと殴らせてね！！
特別にグーじゃなくて、パーで殴ってあげるからね！｣



令子は来夢に何度も頬を平手打ちされ、顔が腫れ上がっていた。

そして来夢は、杉宮に連絡し事情を話す。
数分後、杉宮が現れた。

｢杉宮、早くどっかやって！
このままだと、ほんとに殺しそうなの……｣
｢はい、畏まりました｣

来夢は美麗を抱き上げ、その場を後にした。