私は天使に侵されている
学食へ移動する、二人。
来夢は着いてすぐ、ドカッと座って足を組んだ。

「来夢、何食う?」
「カレーライス」
「ん。じゃあ…買ってくる!」
「ありがと!はい、お金!」
来夢は健悟を少し見上げて、一万円札を差し出す。

「………」
健悟はそれを無言で見つめる。
「早く取って!この体勢きついよ」
「…………なぁ、来夢…」
「ん?何?」
「俺が来夢の“親友”やめたら、俺は…俺達家族はどうなる?」

「やめたいの?僕の“親友”」
手を下ろし、健悟を見据える来夢。

「いや…そうゆうわけじゃ……」
「僕の前から消えてもらうよ」

「え?」
「健悟が僕の傍にいて、しかも“来夢”って呼び捨てできるのは“親友”だから。
それをやめたいなら、僕はいらない」
「そうだよな…」
「僕がいらないって言ったら、きっとパパもいらないって言うよ」

「来夢にとって“親友”ってなんなんだ?」

「親しい友達。読んで字のごとくだよ」
「“親友”ってのは、対等だろ?普通」
「そうだね。だから、対等でしょ?
健悟が僕に尽くす代わりに、僕は健悟の生活の面倒をみる。今もこの一万円で二人分のお昼ごはんを買う。
しかもお釣りは健悟の物。
対等でしょ?
健悟の家族もそう。
パパに尽くす代わりに、生活の面倒をみてる。
てか、健悟は何が言いたいの?」

「俺や春作や令子も……来夢の下僕じゃない」

「じゃあ…もう、いらない!」
そう言って、学食を出ていく来夢。

その足で、杉宮に電話をかけた。
『はい』
「健悟がね、僕の“親友”やめるって!」
『では…』
「うん、だから、もう…排除して?
あと、誰か“親友”よこして?」
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