私は天使に侵されている
草野達と別れ、来夢の元へ戻る美麗。

「美麗~遅いよぉー!」
「うん…ごめんね…」
「体調悪い?」
戻ってきた美麗に駆け寄り、顔を覗き込んだ来夢。
元気のない美麗に、頬を撫でながら聞いてきた。

「ううん…」
心配そうに見つめてくる来夢。
心配をかけないように微笑もうとするが、上手く笑えず俯いた。

「美麗?」
俯いた美麗の顔を、尚も覗き込もうとする来夢。

「ゴッホン!!」
わざとらしい咳払い。
美麗が目の端で、声の方を見ると草野達ファンがいた。

大丈夫。
ただ一言“別れよう”って言えばいいだけ。
簡単なこと。
そうよ!そうすれば、もうあんな恐ろしい来夢を見なくて済むじゃん!
別に来夢がいないと生きていけないってわけじゃないし。
と━━━━美麗は必死に自分に言い聞かせていた。

「来夢」
「ん?」
「大切なお話があるの」
いつになく真剣な表情の美麗。

「うん…何…?怖いよ……
━━━━━━!!!!
美麗!?どうしたの!?なんで、泣くの!?」

美麗はなぜか泣いていた。
自分でもわからなかった。

なぜ、私は泣いているのだろう。
なぜ、こんなに苦しいのだろう。
なぜ、こんなに胸が張り裂けそうに痛いのだろう。
なぜ……………

いつの間に、こんなに来夢を好きになっていたのだろう。

「やっぱり、無理……!!」
「え!?美麗?」

美麗はそのまま、タタタッと草野達の元に向かった。
「草野さん、皆さん!」
「な、何ですか?」
草野達は、涙目で真っ直ぐ見つめてくる美麗に少しビビっていた。

先程、びくびくしていた美麗とは別人だ。

「ごめんなさい!私、来夢と別れるなんてできません。確かに、何も知らないし彼女としてもつり合わないのもわかってます。
でも、来夢が私を必要としてくれるなら、傍にいたいんです!
ごめんなさい!」
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