私は天使に侵されている
「そう。わかった。引き続き、お願いね~!」
通話を切った“来夢”

そう、電話の相手は来夢だ。

明知は来夢の忠実なシモベのような女。
仕事中の美麗を監視するように、来夢が送り込んだのだ。

「ね?美麗。
僕は美麗を失わない為なら“何でも”するんだよ?」

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「熊川さん、お疲れ様でした」
仕事が終わった、美麗と明知。
店の前にいる美麗に声をかける、明知。

「あ、お疲れ様でした、明知さん!」
「帰らないんですか?」
「え?あ、お迎えを待ってるんです」
「今朝、一緒にいた方ですか?」
「え?」
「たまたま見てたんです。仲良さそうでいいなぁって!恋人さんですか?」
「はい////
見られてたんだぁ。お恥ずかしいです…////」
「少ししか見えなかったんですが、かなりのイケメンですね!彼氏さん」
「え?あ、はい。私には勿体ないくらいのカッコいい人です。まだ大学生なんですが、とってもしっかりしていて……」
「そうなんですね!」
「あの…明知さん…来夢のこと……」

「でも、羨ましいなぁ!あんな素敵な人が送り迎えしてくれる彼氏なんて!」
「え?あ、そうですよね」

そこに来夢が現れた。
「美麗~お待たせ~!ごめんね、遅くなっちゃった!」
「ううん…」
「はい、帰ろ?」
来夢が美麗にヘルメットを渡す。
「うん」
「こんにちは」

「こんにちは!」
来夢が明知にニコッと微笑み、挨拶する。
「……/////」
明知の顔が赤くなった。

「あ……
来夢!帰ろ!!」
「え?うん」
美麗は来夢の後ろに跨がって乗り、ギュッとしがみついたのだった。

その美麗の姿に、来夢と明知は内心ほくそ笑んでいた。
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