制服の下(に何があるのか考えた結果)

第11話 伝ウモノ

ひとり電車に乗る
当たり前だった
過去形の日常

毎日 どこか
期待して
玄関を開ける

そこにいるんじゃないかと

俺は(みじ)めなのか
自業自得なのか
望んだはずなのに

結果は無残
自分で殴って消した
あいつの笑顔と
俺自身の腹の奥の方

夕方
隣の家に行く
インターフォンを押す
出てくる保障などない

「はい、どなた様ですか?」
「あつ、僕、戸牧と言いますっ、空木君いますか?」
家族が出てくる気まずさ
「まだ帰ってないのよ」
「わかりました」

思うようにはいかない
家に戻ろうとした
ため息

後ろから引力が覆う

何だよ
振り向くことも許されない
だが
その強さと香りと心臓の音を

俺の体は知っている
目の奥から 止まない雨
後悔しまくった日々が
流れ出す

「悪かった」
行き場を見つけた嗚咽
「僕が子供過ぎました」
襟足からふるえて響く

俺は今 再び
ひとりじゃなくなった
ってことでいいのかよ
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