無彩色なキミに恋をして。
ジュエリーを完璧に車を降りたわたしは
父の後を追うように階段を上がる―――――
「あいかわらず 人多っ…」
重たい扉の向こうに広がる光景は
右を見ても左を見ても
煌びやかなドレスに身を包んだ御夫人やら
タキシード姿の紳士な殿方でいっぱい。
鼻を刺すような強烈な香水の香りは
色んな人のが混ざっていて、長居したらリバースしそう…。
「行くぞ、緋奈星」
「…はい」
溜め息混じりに返答すると
ごみごみとした人集かりの間をすり抜けていく。
思った通り…
ううん、それ以上の注目で緊張するんだけど。
数段高くなっている壇上へと促されガチガチに固まっていると、父がマイクを持って喋り出した。
「皆、今日は集まってくれてありがとう。
まずは紹介しよう。娘の緋奈星だ」
ワーっと拍手喝采が巻き起こり
一瞬にして会場が沸く。
『ど、どうも…』なんて小声で発しながら
とりあえず頭を下げてみた。
挨拶だけで
そんな盛り上がります?
それから父の演説のような長い挨拶を聞かされ
わたしが身につけている高価なジュエリー達の紹介がまた長々と続き、ようやく食事をしながらの歓談時間になる頃には、もう随分と疲れきっていた―――
す、座りたい…
重たいジュエリーに加えて9㎝のピンヒールは
結構ハード。