無彩色なキミに恋をして。
会うたび毎回スカート姿の彼女は
今日はロングコートの下に白ニットとピンクのロングスカートを合わせている。
もちろん気合いの入った濃いメイクはマスト。
彼女が会社に来るのは
曜日は不定期だったけど
以前から見掛けていて知っていた。
燈冴くんに会いに来てるんだって事も…。
それも来るのは必ず夕方の時間。
たぶんわたしが送ってもらうタイミングに
偶然を装って会うつもりで待っていたんだと思う。
だけど最近はずっと1人で帰っていたから、再会が叶わなかった…はず。
わたしが知る限りでは―――
平日の18時過ぎのカフェ店内はお客さんが疎らで
窓際の席に通され、まわりの席はほぼ空席。
わたしと月宮さんがそれぞれ注文したラテとオレンジジュースは
割と早めに運ばれてきたけど…
「「・・・」」
相手が相手だからか
思いのほか緊張して最初の言葉が出て来ない。
そしてたぶんそれは、彼女も同じ。
注文したオレンジジュースを飲むのを躊躇し
手に持ったりテーブルに戻したりを繰り返して
こちらに目も合わせずオドオドした様子なのがその証拠。
まぁ、会いたかったのは燈冴くんのはず。
まさかわたしに待ち伏せされて呼び出されるとは思っていないだろうから、それは緊張もするよね。