無彩色なキミに恋をして。
『離れたい』だなんて
そんなこと一言も言ってない。
思ってもない。
「わたしはそんな風には…」
「わかっています!
これは私の行き過ぎた発言のせいです。
本当にすみませんでした…」
また深く頭を下げられてしまい
ここまで平謝りされると言い返す言葉が見つからない。
…言い返すって
なに上から目線でわたしはモノを言っているんだろう。
誰のせいって、そもそもの原因は自分自身が招いたこと。
彼女を責めるのはおかしな話。
わたしに言った台詞だって
間違ってなかったから燈冴くんを突き放したのは事実。
元宮さんに気付かされて燈冴くんを避けて
挙句、心配させて…
『もう俺を必要なくなったとしても
たとえ嫌われていても…』
不安にさせて…
『俺には…友人や家族がいません。
だから犠牲になるモノも時間もプライベートなんて何もない』
あんなことまで言わせて…
傷つけてばかりいたのはわたしの方だ。
”社長令嬢だからいつまでも執事がいる。
その環境がおかしいんじゃないか”
「あれは…本当の事だから
元宮さんが全部悪いわけじゃない」
謝罪に対しての返事は
彼女にとってどういう思いだったのか
顔を上げて目を丸くその表情で理解できた。
「間違った事は言ってないですよ」
わたしは今、ちゃんと笑顔なのかな―――