無彩色なキミに恋をして。
話を聞いたあと
わたしは『謝罪はこれ以上は不要です』と伝え
彼女もそれに承諾してくれて、一応は和解…したと思う。
グラスが空になる頃には外はもう月が出ていて
そろそろお互い帰らないとだね、と幕引きを図ろうとしたのに。
彼女はまだ何か言い忘れた事があったのか
一瞬、躊躇いを見せた。
「元宮さん?」
その違和感が気になって声を掛けると
『あと1つだけ…』と、ゆっくりと口を開いた。
「今回の事で
私、真白さんを諦めようと思います」
「え…」
突如、まさにそれは敗北宣言…というのか。
確かにずっと気になっていた事だし
というより、1番気になっていた部分ではあった。
でも内容が内容で聞きづらくなってしまったから触れなかったけれど…
「彼は私と会ってくれましたが
それは”漣さんの話”を聞きたかったから
…だけで。
それ以上の感情は持ち合わせていませんでした」
切なげに笑って話始める元宮さん。
「私を…まったく見てくれませんでした。
”業務連絡”と言ってもいいくらい
淡々と確認だけして別れたんです。
脈ナシどころか、近付くのですら拒否された感じです」
燈冴くんがたまに見せる”色を持たない冷酷さ”は
それはわたしだって怖いと思ってしまう部分。
「彼の中には…漣さんしかいません」
「え…」
「言っていましたよ、彼。」
『緋奈星さまが離れる選択をしたとしても…
甘んじてお受けするのみ。
ですが、私があのかたを大切に想う気持ちには
変わりありません』