無彩色なキミに恋をして。

「まさか…とは思いますが
 もうすでに《《何か》》あった、なんて事はないですよね?」

「そ、そんなことは…」

やっぱり…燈冴くんの勘はかなり鋭くて
明らかに疑いの眼差しを向けてくるから
全てを見透かされてる気がして焦る。

「…本当に、ですか?」

そしてなかなか信じてもらえない。

「ほ、本当本当ッ」

瞳の奥から真相を聞き出そうとしているみたいにしばらくジッと見つめてくるから、必死に否定。

ようやく解放されかと思うと溜め息を1つ。

「貴女は少し目を離すとすぐどこかへ行ってしまうから…こちらは気が気じゃありませんよ」

「そんな事はないよ…大丈夫だもん」

「大丈夫じゃありませんよ。
 前に一度、私を拒絶したじゃないですか」

「それは…」

燈冴くんはたぶん今も
以前の元宮さんとのことを根に持ってる。
何も言わずに避けてしまったから…

「だから《《アレ》》をプレゼントしたのに…
 そもそも着けていてくれているんですよね?」

「えっと…」

「まさか、まだ箱の中…と?」

またジロリと
今度は少し哀しそうに眉を下げている。

どうしよ…
本人にまだ言ってなかった…

プレゼントを貰ってから
一度は開けたけど着けられなかった。
その理由なんて
わたしには1つしかなくて…

「燈冴くん…から
 直接…貰いたかった、から」

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