無彩色なキミに恋をして。
scene⑦:会社の危機と彼の想い。
一夜を共にしたわたし達だったけど
翌朝目が覚めたときには隣に燈冴くんの姿はなく
彼はいつものようにキッチンで朝ご飯の準備をしていた。
「おはようございます、緋奈星さま」
爽やかすぎる笑顔が眩しく感じながらも
昨晩は愛されてたな…なんて昨日の情事を思い返して
朝から顔がニヤけてしまう。
「お体は大丈夫ですか?」
「そ、それはッ」
わたしの気持ちを知ってか知らずか
いたずらに微笑む燈冴くんは絶対わかってて言うものだから、まともに顔なんて見られなくなる。
それなのに燈冴くんは今朝も通常運転の”お仕事モード”
「明日は社長が退院されて帰ってきます。
これで鮎沢社長も勝手な事が出来なくなりますし
今後の話し合いも進みそうですね」
この切り替えは燈冴くんらしいけど…。
何事もなかったような普段通りの朝を過ごし
身支度を終えたわたしは燈冴くんの車に乗り込んだ。
「仕事中に昨晩の事を思い出してはいけませんよ?」
「えッ!?」
不意打ちだった。
運転中の燈冴くんがルームミラー越しにニコりと笑うから
せっかくドキドキが落ち着いたのに思い出すし
そのせいで顔が一気に熱くなる。
こういうところ
本当に意地悪だ…
車内の2人きりに終始緊張しながら会社に到着。