無彩色なキミに恋をして。
「ひとまず…家の中に入りましょ?
このままだと風邪をひいちゃいます」
冷たく降り続ける雨に熱を奪われて
わたし達はお互いとも全身びしょ濡れで
特に彼は長いこと雨に打たれていたせいか
冷えて体温が下がっているのが伝わってくる。
一刻も早い移動が優先、と
わたしの方から身体を離し落ちた傘を拾い上げると
『どうぞ…』と家の中に招き入れた。
こんなところ燈冴くんに見られたら何言われるかわかんなかったけど…これは非常事態であって
疚しい気持ちなんてないのだから仕方がない。
「タオル持ってきますので
ちょっと待っていてください!」
先に玄関へと上がったわたしは、滴る水滴で廊下が濡れるのなんて構わずバスルームからバスタオルを2枚持って急いで戻ると、彼は玄関の上がり框に腰掛けて小刻みに震えていた。
「大丈夫ですか…?」
タオルを広げて背中から掛けると
彼は弱々しくまた『ありがとう』と小さく笑顔を向けるから、いつものこの人らしくなくて少し複雑な気分になる。
リビングに移動させ部屋を暖かくし
彼をソファに座らせたまでは良かったけれど
1つ問題が生じた。
「お風呂の準備をしてくるけど…
着替え…どうしよう」
背格好からしても
燈冴くんの洋服なら…と思ったけれど
さすがに場所がわからない。