無彩色なキミに恋をして。

これもこれで
別の意味でちょっと嫌。

父は自身の会社だけれど
毎日忙しいせいか出社は他の社員と同じか
それよりも早い。

だからわたしもそれに乗っていくのだけど
会社までは車で片道10分程度。
往復30分も掛からない道のりに
一緒に行くのは、正直少し気が引ける。

世間の風当たりというか…
凄く目立つから。



いわゆる“社長令嬢”って肩書きのおかげで
コネで入社したと思われているみたい。

何かと良くない言葉を掛けられるし
冷たい視線も感じる。
扱いづらいんだと思う。


もちろんコネなんかじゃない。
確かに子供の頃からノウハウは叩き込まれていたから、そこはまわりとは少し違うかもしれないけれど…

わたしは、わたし。
自力で進まなきゃいけないって思っているから
今はジュエリーコーディネーターの資格を取りたくて勉強中。
だから少し居心地が悪くても仕方ないこと。


けれどそれ以外で
どうにもならない理由が、もう1つ。


それが燈冴くん。


彼の女性社員からの人気は尋常じゃない。
ルックスもだし
仕事においてはさすが“社長秘書”
常に冷静沈着・人柄も良く・頭も良い
そんなハイスペ男子、モテないわけがない。
パーティーのときもそうだけど
人を惹きつける魅惑のオーラもある。


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