無彩色なキミに恋をして。

自分から墓穴を掘るなんて
本当バカ…。

だけどこれを機に聞いてみるチャンスかもしれないって思い、口を開いた。

「じゃぁ…あの、さ…
 パーティーのとき
 燈冴くん、どうしてわたしに…キ…」

…言い掛けてみたものの
いざ言葉にしようとすると
ドキドキしすぎて“キス”って単語が出せない。


心の準備って
やっぱり必要だったな。


有耶無耶に口を噤んだせいでモヤッとした空気を作ってしまったけれど、彼は何か少し考えた様子で『あー…』と納得。

「もしかして
 キスの事です?」

「ッ!?」

ハッキリとした直球の質問に
また更に驚かされた。

「アレは緋奈星さまが、ご自身の貞操の危機に気づいていらっしゃないから。
 なので少し“お仕置き”をしようとしただけです」

反省を促すように
『わかって頂けたましたか?』なんて
薄ら笑いを浮かべている。

お仕置きって…

「え、もしかして燈冴くん
 わたしをからかったの?」

「いえ、そんなまさか。
 俺は至って真面目ですよ」

「真面目って…」

真面目にお仕置き?
って・・・どういう意味?

「緋奈星さまを御守りするのが私の役目。
 なので危険な目に遭わせるわけにはいきませんから」

「そんな…大袈裟だよ」

冗談には聞こえない真剣な横顔。
言っている事は本音なんだと思う。

護るのが役目…か。
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