無彩色なキミに恋をして。
どうしてわたし
残念に思っちゃったんだろう。
デートでもなんでもないのにーーーーー
翌週の月曜日。
朝7時にタクシーにて家を出発し
新幹線に乗るため、駅まで移動。
もちろん今日は燈冴くんと2人だけど
普段、県外へ行く際は決まって父も一緒だし
母が生きていた頃は4人で出掛けていたから
この感覚は、ちょっと落ち着かないーー
・・・おかげで
昨日はあまり眠れなかった。
パーティーのキス(未遂)が脳裏に浮かんではハッとして目が覚めて。
“2人きり”っていう妙な緊張感に襲われて
目が冴えてしまった。
なんでこんなに意識しているんだろ。
今まで何年も一緒にいても全然気にした事なかったのに…
「緋奈星さま?」
「あッ、はい!!」
「しー…」
人差し指を口に当て
静かに、と止める燈冴くん。
そうだった。
ここは新幹線の中。
すでに指定予約していた席に座り
斜め前に座る彼は紺色のスーツに
青色にドット柄のネクタイをしている。
外行き用の格好でも
さすがというか…
色気がダダ漏れしているのは
本人はきっと気付いてないと思う。
「そんなに見つめられると
私でも緊張しますよ」
「へ?」
無意識だったのはわたしの方みたい。
スーツから目線を上に
困った表情を浮かべる彼と目を合わせたら
その事に気付かされて急に顔が熱くなる。