無彩色なキミに恋をして。

片道3時間も掛かる遠出は
流れるように走る車両と
静かな車内には燈冴くんと向かい合わせから始まったのだけれどーーーー

「はぁ…」

窓の外の移り変わる景色を
頬杖をつきながらボーッと眺めて
今思うことは1つ。


気持ち悪い・・・


そう…
まさかの車酔い。

久しぶりの車以外の乗り物と
昨日の寝不足が祟ったのかな。
なんか子供みたい…。

少し眠ろうと頬杖をついたまま目を閉じて気を紛らわそうとしていると、わたしの異変にすぐに察してくれたのは…燈冴くん。

「ご気分、悪いですか?」

声を掛けられて薄っすらと目を開けると
彼は斜め前の席から心配そうに眉をひそめてこちらを凝視している。

「少し、ね。
 でも平気だよ」

『ありがとう』とお礼を言いつつ微笑んでみるも
正直、喋るのはやっと。

すると燈冴くん。
『待っていてください』と一言発すると席を立ち
どこかへ行ってしまった。

待つも何も、立ち歩く元気もないわたしは
また目を閉じて瞑想するしか出来なくて
そうしているうちにすぐに彼が戻ってきた。

「緋奈星さま?」

小声で優しく声を掛けられ顔を上げると
彼は紙コップと薬を持って立っている。

「酔い止めです。
 飲めますか?」

あー…(それ)を取りに行ってくれていたんだ。







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