無彩色なキミに恋をして。
8年前に燈冴くんが執事として
この屋敷に来たのは確か20歳だった。
当時のわたしはまだ13歳の中学生。
反抗期真っ只中で
結構荒れていたっけ。
父は若い頃に自身のジュエリーブランドを立ち上げ、だからか海外にも進出していて
それこそかなりの金持ちで。
まわりとの育ってきた環境や価値観の違いに
心が追いつかなくて家族や友達と衝突ばかり。
もともと気が強かったわたしは
良く言えば素直、悪く言えばワガママ。
そんなわたしに振り回されながらも
よく今日まで耐えてきたなと思うほど
忍耐強い燈冴くん。
中学を卒業してすぐ
母が不慮の事故で亡くなってしまい
そこからわたし自身も『成長しないといけない』って子供ながらに目が覚めて気付かされた。
幼い頃から当たり前のように見てきたジュエリーに、自然と”父と同じ仕事に就きたい”と高校に通いながら1から勉強し、卒業後は父の会社に入り、今に至る。