無彩色なキミに恋をして。

別の意味で酔っちゃいそう――――


「そう…ですか。
 遠慮なさらなくて良いのに…」

「き、気持ちだけで十分ですッ」

遠慮じゃない。
そういう問題じゃないのよ。
保たないの、心臓が!

心の声を口に出して言うわけにもいかず
キョトンとする燈冴くんから目を背け
熱くなった頬に両手で抑えて気付かれないようにするのに必死。

そんなわたしを見ていたのか
隣で燈冴くんがクスっと笑った気がした。

「燈冴くん…?」

気のせい?
そう思って振り向くと彼はやっぱり笑っている。

「すみません、笑ってしまって。
 先程から緋奈星さまが忙しそうだなと思いまして。」

「忙しい…?」

「酔って具合が悪いかと思ったら
 今度は何やら落ち着かなくなって。
 1人でどうしたんです?」

どうやら大まかにはバレていたみたい…。
そもそも誰のせいだと思っているのよ。

「車酔いも、新幹線は比較的に揺れが少ない乗り物ですが…それでもダメでした?」

「それはッ!
 …昨日あんまり眠れなかったからで…」

勢いで”貴方のことを考えていたせいで”なんて口走りそうになってしまい、すぐさま言葉を呑み込んだ。

「眠れなかったんです?
 そんなに支店での勉強に緊張を?」

「え・・・・」

まずい。
その心配は一切していなかった。
ずっと燈冴くんとの事ばかりで―――
 

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