無彩色なキミに恋をして。

「それとも…
 俺と一緒に来るのを楽しみにしていた…とか?」

「えッ!?」

心を見透かされて
わたしの考えている事を読まれた気がする。

そんなことを普通に聞いてきちゃう燈冴くんの察しが、たまに怖い。

「俺は楽しみにしていましたよ?
 緋奈星さまと出掛けられる事を。」

目は本気。
合わせた黒い瞳を真っ直ぐ真剣に向けるから
そんな風にずっと見つめられたら
逃げられるものも逃げられない。

この人は…
どうしてそんなに簡単に言えちゃうんだろ。
それなのにどういう意味で言っているのか
ちゃんと話してはくれない。

「この3日。
 楽しみましょうね」

意味深な発言と一緒にニコりと微笑んだ笑顔に
ドクンと心臓が跳ねた。

《《楽しむ》》なんて、どんな意味?




「話はこれくらいで…
 緋奈星さま、少し眠った方が良いのでは?」

「え…っと…」

悔しいけど、燈冴くんの言う通りだ。

酔い止めが効いてきたのか
睡魔に襲われ瞼が重たくなってきているのは事実。

…かと言って
静かな車内でまわりには他の乗客もいない中
肘掛けを挟んだすぐ左隣にいる燈冴くんを意識すると、こんな状況で眠るなんて、絶対無理…

「俺の事は気にせず
 到着するまで寝ていてください」

そう言って燈冴くんは
膝枕にしようとしていたブランケットをわたしの体に掛けてくれる。


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