無彩色なキミに恋をして。
到着したジュエリー販売の専門店。
わたしが働いている父の会社とは違い
対:お客様との様々な会話が耳に入ってくる。
責任者の女性:如月さんと挨拶を交わし
支店としての役割や仕事内容の大まかな説明を受け、実際の様子を近くで見学させてもらったけれど…
「凄い情報量…」
知識の豊富さに圧倒されてしまった。
手元に台本があるわけでもないのにスラスラと説明をしていて、更には相手の意図を汲んで提案。
そうした接客スキルの高さが窺える。
「緋奈星さま
私は少し席を外しますね」
「うん、またあとでね」
視察として来た燈冴くんは
責任者の如月さんと一緒に店の奥へと消えていき
わたしはわたしで1人、別行動。
店内をぐるりと回りながら接客を実践してみる事に。
そこで見掛けた1人の女性。
年齢はわたしと同じくらいか
それほど離れていないように思える。
彼女はメモ帳を片手に
ジュエリーのショーケースを食い入るように凝視しては、手に持つメモ帳に何やら真剣に書き綴っていた。
「何か気になったものでもありましたか?」
隣まで近付いて声を掛けると
書くのに必死すぎてわたしの存在に気が付かなかったのか、こちらを見るなり目を見開いて固まってしまった。
思った以上の驚いた反応に
わたしも少しビックリした。