無彩色なキミに恋をして。
これってもしかしてッ
「ちょっとごめんねッ!」
異変に気づいたわたしはすぐに燈冴くんから離れ
ソファから降り立膝に戻ると
『顔あげて』と慌てて覗き込むようにして彼を見た。
真っ青な顔色に、その額からじんわりと汗が滲んで
荒く吐く吐息からは熱気を感じる。
「すごい熱…」
恐る恐る額に手を当てれば
思った通り…ううん、それ以上の熱さが伝わってきた。
「そう…ですか。
どおりで暑いと思いました…
熱、だったんですね」
まったく自覚していなかったのか
驚くほど冷静で、それはまるで他人事。
けれど言葉とは裏腹に
余程辛いのか息は上がったまま
その目は一点を見つめて微動だにしない。
「燈冴くん…
ベッドに…行こ?」
このままじゃ熱が下がるどころか悪化するだけ。
だからと思い
心配して言っただけなのに…
「緋奈星さま…
積極的、ですね」
「え…?」
「ベッドに誘うなんて…
大胆、です」
「ちょっっ、バカっ!違うから!!」
遠くの一点を見つめていたはずの熱を帯びた瞳は
今度はわたしを捉えて言うものだから
こっちまで熱が出そうなくらい一気に顔が熱くなる。
こんな時でも冗談が言えるだけの元気はあるみたい。
…逆かもしれないけど――――