無彩色なキミに恋をして。
もちろん当の本人にも
この事は伝えないといけない。
断る前提で考えてはいたけれど
でももし燈冴くんの口から
『ぜひとも私もお会いしたいです』なんて発言が飛び出したら?
”お詫びも兼ねて”という事は
きっと食事とか…
つまりプライベートで2人きり?
燈冴くん
どんな話をするんだろうーーー
どこに行くのか、とか
いつ会うのか、とか
どういう表情を彼女に向けるんだろう…なんて
そんな事ばかりが頭の中をいっぱいにする。
実際まだ何も聞いていないし確定もしていないのに、想像だけが先走る。
それくらい
気になって仕方がなかった。
休憩時間
燈冴くんに電話で聞いてみようかと思い
給湯室でお茶を飲みつつ何度もスマホを手にしては画面を眺めるも、真っ暗になり反射して映る自分に『やっぱり帰ってから直接にしよう』を繰り返す。
わたしは彼に
どう聞けばいいか迷っていた。
『会いたがっていたよ』
『お詫びをしたいんだって』
たかがその伝言だけなのに
言いたくないって感情が入ってしまう。
考えれば考えるほど
彼がしたキスも
そしてそれ以上の出来事も
鮮明すぎるほどに脳裏を過ぎる。
「帰りたくないな…」
定時の時間に仕事を終え
パソコンをシャットダウンしながら
溜め息混じりに出てしまった言葉。