無彩色なキミに恋をして。
するとわたしの返事に“それならば!”と思ったのか
『ちなみに今日って真白さんは…』と遠慮がちな割には、しっかり趣旨を主張してきた。
やっぱり彼女の狙いは、燈冴くんだ。
「今日こそ会えるかな」
ニコニコしながら喜びをアピール。
だけどそれは、笑顔だけじゃなかった。
冬の寒さにも負けないミニスカートにブーツに
ファー付のダッフルコートとマフラー。
メイクは先日会ったときよりも濃いめのピンクに
アイライナーでしっかり目元を強調している。
プライベートにしては少し気合いが入っていて
『これってまさか燈冴くんに会うため?』なんて。
考えすぎかもしれないけれど。
何をどう言い訳したって
再会するのは時間の問題。
「えっと…
彼はーーーーー」
わたしが答え掛ける、ちょうどその時
当の本人が運転する車が目の前を横付けし
助手席側の窓が開いた。
「真白さん!」
先に反応したのは元宮さん。
こっちの事なんてお構いなしに
すぐに車へと駆け寄っていく。
そんな彼女の背中越しに見える燈冴くんの表情も驚いていて、わたしと目が合い複雑に笑うしかなかった。
「良かったぁ
会えるなんて思わなかったから嬉しい!」
ご主人様の帰りを喜ぶ愛犬のように
人懐こく はしゃぐ彼女。
どうしてか
わたしにはそれが、わざとらしく聞こえて仕方ない。