無彩色なキミに恋をして。

そんな風に思ってしまうわたしは
最低で、醜く汚いな―――


「貴方は確か…」

「元宮みことです!
 真白さん、お久しぶりですッ」

初めは車の中と外で挨拶を交わしていたけれど
思った以上の彼女の声量が大きく
さすがにこの状態のまま会話を続けるわけにもいかないと、燈冴くんは車から降りて改めて元宮さんに声を掛けた。

「それで。
 今日はどのようなご用件でしょうか」

秘書としてか
彼にとっては、あくまで仕事の一環。
無表情のまま無心で一定の距離を空けられている事には元宮さんもわかったみたいで『そ、そうですよね』と緊張した様子で話を続けた。

「漣さんにもお話させて貰ったんですが
 以前、真白さんには助けて頂いたので
 そのお礼とお詫びをしたいなと思いまして…」

なんとか彼女は用件を言い終えたけれど
燈冴くんは相変わらず表情を崩す事なく
『…そうですか』と告げ
少し()が空き低い声で続けて言う。

「わざわざそのような事を()さらなくて結構です。
 いま直接お会いして聞きましたので
 改めて時間を作る必要もありませんし。
 ですので、お断り致します」

ダークネスな燈冴くんに
元宮さんは呆然とその場に立ちすくんでしまい
掛ける言葉を失っている。

それはわたしも同じ。

本当に彼は、直球に冷たいーーー
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