無彩色なキミに恋をして。
ここ最近は食欲もないせいか
ほとんどまともにご飯を食べていないけど
それでも不思議と慣れてしまうもの。
何も見なかった事にして冷蔵庫を閉めると
わたしはそのまま自分の部屋に戻り
コートだけ脱いでハンガーに掛け
そのままベッドに倒れ込んで、目を閉じた。
――――コンコン
いつの間にか眠ってしまったらしく
部屋のドアをノックする音で目が覚めた。
誰か来た…?
ぼんやりとそう思うのにボーっとして頭が働かなくて、2度目の”コンコン”と叩く音で
ようやく体を起こしゆっくりとベッドから降りてドアを開けた。
「緋奈星さま」
目の前にはスーツ姿の燈冴くん。
眉間に皺を寄せて厳しい表情を浮かべている。
「あ…燈冴くん…
ここにいるって事は、もうそんな時間…」
少しずつ頭もハッキリしてきて
燈冴くんの帰宅=つまりもう22時は過ぎていると
時間の感覚も戻ってきた。
「もしかしてとは思いましたが
お食事、召し上がっていないんですね」
やっぱり少し怒っているのか
ずっとムッとした表情のまま腕を組んでいるし
こうなると「説教が始まる」ってわかるから
無意識に目を逸らしてしまう。
「顔色も悪いですし
いいかげん御身体を壊しますよ」
「わかっている…けど
食欲がないから…」
まるで思春期の子供みたいに拒否してしまった。