無彩色なキミに恋をして。
すると燈冴くん。
そんなわたしに呆れたのか
目を閉じて小さく溜め息を吐き、腕組みを解いた。
「私を避けていますよね、緋奈星さま」
緊張が和らいだように思えたけれど
前置きもなく、単刀直入に核心に触れてくるところをみると“怒っていない”は気のせいだったみたい。
避けている事もバレているし。
「そういうわけじゃない…。
そんなんじゃ…」
ジッと見つめられている中で
曖昧に嘘をつくのは簡単じゃない。
物言わぬプレッシャーに潰されそう。
「先日から様子がおかしいのはわかっています。
ですが食事は召し上がらないと。
社長にも怒られてしまいます」
淡々と“社長に怒られる”って言い放たれて
その言葉に現実を思い知らされた。
それは誰のことを言ってるの?
《《わたしも為》》じゃないんだって考えれば考えるほど
燈冴くんにとって自分が”重荷”になっている事を自覚させられて、苦しくなる。
「わたしはもう…
子供じゃない」
「え?」
「だからッ
わたしの面倒まで見なくていいッ!」
睨め上げて拒絶したのは初めて。
目つきが悪いって自分が1番よくわかってるけど
つい虚勢を張ってしまった。
ハッとしたときには、手遅れ。
わたしの勢いに最初は目を丸くしていたけれど
すぐに真顔に戻り『そうですか』と冷静な返しには
機嫌の悪さが滲み出ている。