無彩色なキミに恋をして。

燈冴くんって、そういう人だからね。
良くも悪くも素直というか馬鹿正直というか。

長年一緒にいるから慣れたけど
それでも思う事はあるよ。

「たまには嘘でも褒めてくれてもいいんだけどねー」

『ま、仕方ないけどさ』って捨て台詞のように吐き、部屋から出ようと入り口に立つ燈冴くんのすぐ横を通り過ぎようとした。

それなのに何を思ったのか
突然彼はスッと手を伸ばし遮るように道を塞いだかと思うと、顔を上げたわたしの耳元に近付き小声で囁く。

「ギャップがありすぎてビックリしましたよ。
 確かにとても綺麗ですし。
 まぁ…だから困るんですけどね。
 俺が他の(ひと)に見せたくなくなるから」

「な、なに言ってんのさ 
 冗談ばっかッ」

真っ直ぐに逸らさない視線と1つ1つの言葉の中に
複雑な笑顔とその”陰”が見えて、どうしてかドキッとして、こっちが慌てちゃう。

そんなわたしとは裏腹に
燈冴くんは顔色1つ変えず
いつだって冷静なまま。

「お車の準備が出来ていますよ。
 行きましょうか」

遮ってガードしていかたと思えば
今度はわたしをエスコートするように手を差し出すから、自然とその手を取ってしまう。


こういう発言をする燈冴くんって
たまに男だ。

一瞬でも焦っちゃうじゃない…




 
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