冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
彼が眠っている私にキスをした夜が七回あったという事実だけで体の体温が急上昇する。
さっきまで頭の大部分が悲しみに支配されていたはずなのに、音を立てて弾け、瀬川さんが私の横で欲情していた妄想で溢れだした。
言葉が出ない。とにかく体が熱くて、両手を頬にあてた。
「困らせて悪い。こんなことを聞かされて気分が悪くなったとは思うが、ネットに書かれていることはちがうと言いたかった」
「その気持ちはすごく……伝わってきました……はい……」
反省を表して直立している彼を前に体を起こしてベッドに座る私には、目の前にある彼の体の一点が目についてしかたがない。
「すまない。これは……わざとじゃない」
瀬川さんはそれを隠すようにうしろを向いた。
私のことが好きだという証拠を目の当たりしたみたいで、困惑とともにうれしさが爆発しそうになる。
「気にしないでくれ。少しすれば収まる」
肩が上下し、深呼吸を始めたのがわかった。