冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす

なぜか桐生さんは私の話を聞くたびに憤慨し、怒りのオーラを増長させていく。
もうこれ以上聞かないでほしい。自分でもわからなくなってくるから。

「俺はそういうのが一番嫌いなんだ。利益のためなら人の気持ちまで利用する。アンタが瀬川をどう思ってるのかその顔を見りゃわかるが、あっちは違う。利用してるだけだ」

そんなことない。
好きだって言ってくれたし、キスをして、たくさん愛してくれた。

「信じられないか? 俺はな、コンサルティングを教えてくれって言う瀬川と週二で飲みに行ってた。熱意を買って、仲間だと思ってそれなりにかわいがってた。今はどうなってる? その関係が続いているように見えるか?」

桐生さんは自嘲気味に笑みを浮かべる。

それがとても悲しそうに見えて、なにも言えなくなった。

「誰が利益を得て、誰が切り捨てられた? アンタは自分が例外だと思うか?」

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