冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす







周囲を探しても、芽衣は見つからなかった。
彼女の職場のカフェへも行ってみたが、電気が消えて誰もいなくなっている。

電話も出てくれない。メッセージに「泊まる場所はあるので探さないでください」とだけ連絡が来て、俺は虚無を感じてマンションへと戻った。

なぜ出ていってしまったんだ。性格柄、俺がなにかしたのは間違いないのだろうと予想がつくが、まったく覚えがない。

「……ジータ」

わざとらしく真っ暗なまま佇んでいたジータに声をかけると、奴は『はーい』と返事をする。

「なんでこんなことになった」

『私が知るわけないじゃないですか』

「お前、AIだろ。なんとかして連れ戻せ。芽衣の居場所を割り出せないのか」

『ご主人は夫なのに、芽衣さんの行きそうな場所くらいわからないんですか』

くそ、イライラする。

「……明日になればカフェに出勤しているはずだ。そこへ行って連れ戻す」

『連れ戻す連れ戻すって、別れるって言ってる相手にそんなことをしたら拉致じゃありませんか?』

くそっ……!
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