冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
腹が立ちすぎてジータの胸ぐらを掴もうとしたが、円柱型のジータには胸ぐらがなくツルンと滑った。
『だって、〝あの人〟を忘れられないから私を作ったんでしょう? 〝あの人〟をモデルにして』
「言っただろう、それは芽衣への気持ちとはまったく違う、次元の違うものだ」
『ああ、私はそこらへんがよくわからないんですよね。好きにも種類があるのですか?』
「……とりあえず、お前はもう喋れないように改良する。明日から〝η(イータ)〟になるから覚悟しておけ」
『え! そんな!』
苛立ちをジータにぶつけていても意味はなく、俺はそれ以上話すことはやめ、ソファに座り込んで頭を抱える。
芽衣に触れたい。
戻ってきてほしい……。
『そういえば、SNSがどうちゃら言っていましたね。ネットを見てみましょうか』
正直ジータには放っておいてもらいたいが、俺のスマホの暗証ロックを勝手に解除する奴を止める気力はもうなかった。
『わ、すごいことになってる。芽衣さんも浮気してたんですね』