冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
『理由は?』
『幼い頃に母を亡くしているのですが、区役所で初めて目にしたAIのロボットがどこか母に似ていたんです。……それからその……まあ、えっと、つまり……』
カメラは瀬川さんのアップから、引きの視点へと切り替わる。
すると、彼の隣にジータが映った。
まさかジータも一緒にインタビューを受けているなんて。
『つまりご主人は、AIでお母さまを作ろうとしているんです』
アナウンサーは固まり、カフェも静まり返った。
私も衝撃的すぎて言葉を失う。
『やめろ、ジータ。その言い方は語弊がある』
まったく予想していなかった。瀬川さんがAIを作るようになった理由が、まさか……。
『本当のことじゃないですか。ちなみに、私がそのお母さまがモデルになっているAIロボットの〝ジータ〟です。これからご主人のお母さまになるべく改良をされていく予定です』
『ふざけるな。お前はもうお前でいいんだ。こんな母がいてたまるか』